行政に不満?(そして持続化給付金の注意点)

2020/05/09


最近SNSを見ていると、行政に対して不平や不満の記事を目にします。

その気持ちはとってもよく分かるし「うんうん」とうなずける事もたくさんあるのですが、、
一応行政書士の資格がある立場として、ちょっとだけ。。


その前に『なせ自分が行政書士を目指そうと思ったか?』について書かせてもらいます。

それは2011年3月11日の『東日本大震災』にさかのぼります。
あの日はちょうど実家の秋田に仕事の為に帰省中でした。
当時、嫁と2人で車で移動していたのですが、その日の昼食は以前から宮城県松島市にある『焼がきハウス』に決めていました。
しかし東北道で仙台を通過する時間が予定よりも早かったため『焼がきハウス』は帰りに寄る事に。 そして秋田に到着して間もなく、あの東日本大震災。。
もしもあの時に『焼がきハウス』に寄っていたら、、と思うと震えが止まりませんでした。。
実は自分が小5の時に経験した日本海中部地震でも、津波の難から逃れているのです。(これは興味のある人がいたら書きます(笑))

二度も津波から逃れた自分はすぐに『ボランティア活動』をする事を決意。
震災の一週間後には車いっぱいに物資を積んで、道無き道を被災地へ向けて走りました。
それから約2年間、ほぼ毎月のように物資を運び続け、4年目で自分の中でのボランティア活動に区切りをつけました。

そのボランティア活動の際に、現地の人とたくさん色々な話をしたのですが、
その中でもずっと気になっていた言葉の中に、

「車が流されたんで廃車届にいったら「車検証もってこい」だとよ〜。車流されて無くなったのに、車検証なんてある訳ないだろ。」

「あそこの家の人は全員津波で亡くなったから、解体できないんだよな〜。」

などがありました。。

その時に
『自分が行政と対等に話し合える力を持ちたい!』
と思ったのが行政書士を目指すきっかけでした。

しかし自分は全くの理系人間で、暗記ものが大の苦手。。
そんな自分が40歳を超えてから猛勉強(笑)。

そしてなんとか合格。



でもその勉強のおかげでちょっと分かった事があります。

それは、行政というのは
『(国や地方から)言われた事を淡々とこなす仕事』と『許認可のように裁量が与えられた仕事』 の大きく2つに分類されるという事です。
(もちろんこれ以外にも規制行為や行政強制(警察とか代執行とか)もあるのですが、それは今回は割愛します)

どういう事かというと、誰かに特別に何かをやらせてあげる権限を与えるものには広い裁量(自由に決められる)がある訳です。
しかし、決められた事を淡々とこなす裁量が無い(少ない)ものもあるのです。
例えば、引越しをして転入届を提出したら、行政は書類に不備が無い限り、(必ず)受理しなければいけません。
(これには面白い判例があって、オウム信者の転入届を拒否した地方公共団体が訴えられて敗訴した、という最高裁の判例があります)

ようするに、この『淡々とこなす事務』はそのお役人ごとに対応が異なると、それ自体が違法になるんですね。
なので、その例外を認めるには法律の根拠が必要なんです。
法律の根拠です、法律です。

例えば、公務員が自分の感情で
「あいつは気に食わないから受理しない〜」 とか
「この子は書類足りないけど可愛いからOKにしてやろう〜」
とかやられちゃうとたまったもんじゃないわけです。
なので、こういう行政行為を『羈束(キソク)裁量』といって行政の行為をがんじがらめに縛っておくんです。
これはある意味、大事な事であって平等の観点からも必要な行為と思われます。

要するに行政側もどこかでその『線』を引かなければならない訳です。。
(それは法律上で、ということです)
それに反して異なる行為をする事は、やっぱりできないんですね。
どうしても反した異なる行為をOKにするには法改正(或いは行政が作る規則などの改正)が必要となる訳です。

そう考えると、最近のSNSの書き込みはこのような事を無視した、ちょっと自分勝手な主張が多いのかな〜と思ってしまいます。。

例えば40キロ規制の道路があって、
『ここは80キロでもいいだろ〜!!!な〜、そうだよな〜!!』
ってみんなで寄ってたかって文句を言って法律を変えさせた。

みたいな感じです(笑)。
これってある種凄い事ですよね。

では、
『絶対に文句を言っちゃいけないのか〜!』
というとそういう訳ではなくて、不服があるならばきちんとした手順で文句を言う事ができます。
(行政書士の登録が終わったら、こちらのお手伝いや訴訟の代理もできるようになりますので、ご相談下さい。)

まあそもそも論として、今回の給付金や補助金の『基準』自体がイマイチだったという問題もありますけどね。。


最後に、ちょっと前に話題となっていた『持続化給付金』のお話。

「雑所得」の件で色々と論争がありましたね。
でも実は「雑所得」で申請していても更正の請求などで給付金がもらえる方法があるんですね。
でも、みんなでワ〜〜!!って文句言って、その基準を変えちゃった。。

あと大抵の人はお金をもらう事ばかり考えてますが、僕的には『罰則』の方が気になります。。
今回、急速な支援が必要なので、書類の不備が無ければ早急に振込をする流れになっていますが、多分振込んだ後に国もしっかり書類をチェックすると思います。
その際に不正があると、結構重い『罰則』があります。。

一応罰則をそのまま載せておきます。<以下抜粋>

一 不正受給を行った申請者は、前項第2号の給付金の全額に、不正受給の日の翌日から返還の日まで、年3%の割合で算定した延滞金を加え、
これらの合計額にその2割に相当する額を加えた額を支払う義務を負い、事務局は当該申請者に対し、これらの金員を請求する旨の通知を行う。
二 不正受給が発覚した場合には、事務局は原則として申請者の法人名等の公表を行う。
三 事務局は、不正の内容により、不正に給付金を受給した申請者を告発する。


要は、
●もらったお金に年3%の金利をかけて、その金額の2割増を払わせられる。
(もしも100万円もらってたら120万円以上の返金義務がのしかかります)
●かつ、名前の公表(今回のパチンコ店みたいな感じですね)
●そして訴えられる(これは多分ですが、ほぼ勝ち目は無いと思います。。)

という事です。

この手の給付金の中では結構重い罰則と思います。
国としては
『みんな困ってるから取り敢えずすぐには払うけど、その代わり不正があったらこっぴどくやるからな〜!』
という事だと思います(笑)。
なので書類提出の際は今一度内容をご確認されることをお勧めします。



※税に関しては税理士の独占業務ですので、書き方や計算、書類作成などを手伝うと法に触れてしまい罰せられます。。これは無償でやっても、犯罪です。。
(申請等のアドバイスは大丈夫です。この手は行政書士の得意分野になりますので行政書士の登録が終わったら相談ください(笑))
ネット上でもこの手のアドバイスをされている人がいますが、依頼した方も依頼された方も罰せられますのでご注意くださいね。
(知らなかった、といっても罰せられてしまいます。。)





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